後遺症の損害賠償

<交通事故,後遺症で請求できる範囲>
 傷害事故で治療を受け,医学上これ以上回復が見込めないという状態(症状固定といいます。)になった時点で,後遺症の損害賠償を請求する段階になります。
 後遺症で請求できる損害は,@積極損害(治療器具購入費など),A消極損害(後遺症が残ったことによる逸失利益),B慰謝料になります。

<後遺症の判断>
 後遺症が残ったか,どの程度の後遺症かという判断は,医師が作成する後遺障害診断書により判断をします。
 医師が後遺障害診断書を作成する際,レントゲンや
CT,MRIなどで客観的に判断できる事案ばかりではありません。神経系の後遺症の場合,いかに自覚症状を医師に理解してもらえるかで後遺障害診断書の内容が変わってくることもあります。そして,一度作成され,保険会社へ提出された後遺障害診断書の内容について,後日,争うのは困難な場合が多いです。
 そのため,医師へ,自分の症状を正確に伝えられるようにしましょう。

<積極損害とは>
 後遺症が残った場合,車椅子,盲導犬が必要になったり,自宅を改造する必要が生じたりします。このような将来的に必要になる後遺症による積極損害について,請求ができます。

<消極損害とは>
 後遺症が残ったことにより,労働能力が低下し,収入が減少する場合,逸失利益の請求ができます。
 逸失利益の算定方法は,基礎となる収入に,労働能力喪失割合,労働能力喪失期間を掛けて算定します。 この際,将来の損害を現在受け取るため,現在価値に引き直した金額になります。
 基礎となる収入は,事故前の所得証明により算定します。
 労働能力喪失割合は,後遺障害等級表という表に基づいて決まります。
 労働能力喪失期間は,67歳まで働けるものと擬制し,67から症状固定時の年齢を差し引いて,算定します。なお,むち打ちの場合,重度で3年から5年,軽度では2年から3年として扱われることが多いです。

<慰謝料とは>
 後遺症が残った場合,後遺障害等級に応じて,慰謝料が発生します。
 後遺障害慰謝料の算定について,自賠責基準,日弁連基準という形で定額化されています。

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